2015年03月19日

 小児滲出性中耳炎診療ガイドライン初版が発刊される


 今年1月に日本では初版となる「小児滲出性中耳炎ガイド2015年度版」が発刊されました。小児滲出性中耳炎の診療ガイドライン(以下GL)については諸外国が先行し主にプライマリケア医を対象として重点が置かれていたものですが、日本においては診療の多くを耳鼻咽喉科医だけでなく小児科医も担当し周辺器官の病変との関連性を捉えて治療に当たるという日本特有の現状を踏まえているのが特徴だそうです。
 
  GL表紙.JPG
 
 私自身早速購入して読んでみましたが特に目新しい知見には乏しく、今までの耳鼻咽喉科関連のGL(例えば小児急性中耳炎やアレルギー性鼻炎の診療ガイドライン)と比較してやけにEBM(evidence -based medicine 根拠に基づいた医療)を意識した構成が(治療の推奨度など)見受けられました。ここ数年の流行と言ったら語弊があるかも知れませんがコクランライブラリーなる英国の医学文献インフラとそれに基づくデータやその解析が非常に重要視される現状があります。そのため日本でも様々な疾患GL作成が喫緊の課題となっているのですが、私などはそれに縛られすぎるのもどうかと思います。
 まず本GLでは滲出性中耳炎を「鼓膜に穿孔が無く、中耳腔に貯留液をもたらし難聴の原因となるが、急性炎症症状すなわち耳痛や発熱の無い中耳炎」と定義しており、就学前児童の90%が一度は罹患し1歳までの罹患率は50%以上、2歳までに60%以上の児が罹患します。多くは3ヶ月以内に自然治癒しますが3〜40%で再発し、5〜10%は治癒まで1年以上を要します。

 少し私見を述べれば自分自身は今までかなり一般的なEBMに基づいた診療をしていたという自信になりましたが、当院を受診するお子さんを診るといい加減な治療がなされている児の多いことに驚かされます。まず初めに今までに小児科医で「滲出性中耳炎」の診断治療を正確にできていたDR.はほぼ皆無ですので除外します。耳鼻科医になって以来「小児滲出性中耳炎」は極力後遺症を残さないことが最終目標の全てであると思って診療してきましたが、なかには受診する都度頻回の「鼓膜切開」を繰り返し受けた症例や数ヶ月にわたり中耳貯留液があるにもかかわらず「鼓膜換気チューブ」の話を聞いたことすらない(勧められたことすらない)症例などが余りに多いことには憤りを感じます。また根拠の無い古い世代の抗生剤が処方されている例や何故か2剤の抗生剤が処方されている例などもあります。これらの症例の中には既に鼓膜が菲薄化・内陥したり岬角に癒着したりする例も稀ではありません。耳鼻咽喉科専門医を標榜する以上は常に最新の知見・手技を習得することなど言うまでも無いことと思います。

  鼓膜所見.JPG

 今回のGLの要点ですが基本的には3ヶ月までは経過観察が主で3ヶ月以上遷延する場合に鼓膜換気チューブ留置術を考慮すべしと言うことに尽きます。治療としての鼓膜切開術には有効性が無く推奨しないと明記されました。またアデノイド切除術の適応や鼓膜換気チューブの合併症についてもまさに私の考えていた通りのことが記載されており前者はチューブ脱落後の再発例に有効であるとの記載があります。診療アルゴリズムを掲載しますのでどうぞご参照下さい。

  アルゴリズム.JPG
posted by 凄腕院長 at 19:30| 日記

2015年03月08日

早くも札幌でハンノキ花粉飛散開始



 道立衛生研究所の発表によると今年の花粉観測初日の2月28日にハンノキ花粉(シラカバと同じカバノキ科でシラカバ花粉症の人の多くがハンノキ花粉にも反応します。)が採取されました(http://www.iph.pref.hokkaido.jp/pollen/pollen_info.asp)。つまりこれより前から花粉が飛散していたことになります。どうも2週間ほど前から当院でも鼻炎症状が酷くなったと訴える方が多く見えられていましたが色々調べても花粉飛散の情報が無く、丁度その頃西日本では黄砂が観測されており札幌市でのPM2.5の数値上昇もあったことからそのためではと考えておりました。実はかなりの方は花粉症だったのかも知れません。1997年に観測を始めて以来最速とのことです。

 ハンノキ3・8−1.JPG ハンノキ3・8−2.JPG
   散歩コースに生えているハンノキ

 そこで早速本日散歩コースに生育しているハンノキを観察して来ました。なるほど雄花がたわわに下垂しておりいかにも花粉が飛びそうな気配、確かに例年と比べてかなり早く成長していることがわかりました。ついでにシラカバの木も見て回りましたが、雄花の数や成長度は個体によりかなり差があるのですがまあ平年並みではないかという印象です。今の気象状況だと花粉飛散は間違いなく例年より早まるのではないでしょうか。

 シラカバ3・8−2.JPG シラカバ3・8−1.JPG
   ついでにシラカバも観察

 今年度のシラカバ花粉の飛散予測については日本気象協会や岩見沢の西澤伸志先生(昔大変お世話になりました。)が発表しておりますが、道立衛生研究所の発表はまだの様です。

http://www.jwa.or.jp/news/2015/02/post-000476.html
http://www.2438-jibika.jp/com.htm


posted by 凄腕院長 at 19:07| 日記