2016年04月11日

「鼻アレルギー診療ガイドライン」における花粉症の初期療法 



 今日は北海道上空に寒気が入り込んだため全道的に降雪がありました。しかし季節は確実に進んでおり、シラカバ花粉飛散もすぐそこまで近づいています。
 今年「鼻アレルギー診療ガイドライン」が改訂され2016年度版が出ましたので、その中から特に花粉症の初期療法についてご紹介します。


   ARガイドライン.JPG


 「第5章 治療」の「治療の選択」の項に「例年、強い花粉症症状を示す症例では初期療法を勧める。予測される花粉飛散量と、最も症状が強い時期における病型、重症度を基に用いる薬剤を選択する。くしゃみ・鼻漏型では、第2世代抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエイター遊離抑制薬、鼻噴霧用ステロイド薬を、鼻閉型では抗ロイコトリエン薬、抗プラスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬、Th2サイトカイン阻害薬または鼻噴霧用ステロイド薬のいずれか1つを用いる」と記載されており、開始時期について「第2世代抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイド薬は花粉飛散予測日または症状が少しでも現れた時点で開始し、その他の薬剤では飛散予測日の1週間前をめどに治療を始める」との記載があります。初期療法はこれまでいかなる薬物であれ、効果発現の時間を考慮して、花粉飛散開始の1週間ほど前からはじめた方が良いとされていました。しかし3年間全国多施設共同研究でのオープン試験で飛散1ヶ月前から第2世代抗ヒスタミン薬を内服した群と飛散開始から内服した群では効果に差を認めなかったこと、さらに花粉暴露室を利用した初期治療モデルでも花粉飛散後すぐに第2世代抗ヒスタミン薬を内服すれば1週間前から初期治療を継続した群と有意差無しという結果でした。
 これらの中で特に鼻噴霧用ステロイド薬についてですが、海外での花粉症を対象とした鼻噴霧用ステロイド薬による季節前投与のプラセボ対照ランダム化比較試験でその有用性が明らかにされ、また日本でのスギ花粉症を対象としたプラセボ対照ランダム化比較試験において鼻噴霧用ステロイド薬による初期療法を行うことでシーズン中の鼻症状を有意に抑制しまた眼症状の増悪も抑えることが証明されています。最近は1日1回噴霧するタイプのものが普及しており、かなり手軽な良い方法と思います。
 

posted by 凄腕院長 at 22:09| 日記

2016年04月10日

 シラカバ花粉は何時頃からどのくらい飛ぶ? 



 今年の3月末頃からアレルギー性鼻炎の症状が悪化して受診される患者さんが例年と比べ多く見えられました。そしてその多くは既にシラカバ花粉症がある(シラカバIgERASTもしくはシラカバアレルゲンの皮膚テストが陽性)と確定されている患者さんでした。現在まだシラカバ花粉は飛散していませんので抗原性が共通するハンノキ花粉で症状が出ているわけです。道立衛生研究所の観測データでは先月25日以降に多目の飛散が続いていたことがわかり、ここで鼻症状の悪化した方が増えたものと考えています。


   はんのき飛散.PNG 


 そこで気になるのはシラカバ花粉がいつ頃からどの位飛散するかと言う事ではないでしょうか。ハンノキ花粉よりもシラカバ花粉の方が飛散数は多いはずですから現在既に症状が出ている方は益々酷くなることが予想されます。今年のシラカバ花粉飛散予測で最も早く公表されたのは「北海道新聞」にも掲載された日本気象協会によるもので昨年夏の気温・日照時間・降水量を基に予測した「例年の40%と非常に少なく、前年比80%とやや少なくなる」というものでした。
http://www.tenki.jp/pollen/expectation.html
しかしこの予測は以下の多くの予測と乖離しており、恐らく誤りと思われます。
その他には私の知る限りではウェザーニュースによると花粉飛散開始を4月中旬、飛散量を平年比65%、昨年比152%と予想しており
http://weathernews.com/ja/nc/press/2016/160408.html
先日行われた日耳鼻北海道地方部会学術講演会において岩見沢の西澤先生は岩見沢市周辺のシラカバ樹木の雄花を観察し実測した数値を基に飛散数が昨年比8倍で症状は4倍になると予想
http://www.2438-jibika.jp/com.htm
札幌医大の白崎先生は平年比8割位で昨年より多くなるとのことでした。(シラカバ花粉飛散は前年6月と今年3月の日照時間と相関するとのこと)
 これらの予測からシラカバ花粉飛散量は昨年より多く飛散開始時期も今後の気温次第ですが例年よりは早まりそう(4月20日前後?)というのが結論で、私自身周辺のシラカバ樹木を観た印象でも昨年よりは雄花がはるかに多い印象です。
 シラカバ花粉症の方は早目の受診と内服薬あるいはステロイド点鼻による「初期治療」をお勧めします。


posted by 凄腕院長 at 22:16| 日記