厚労省から既にされた発表によると今シーズンのワクチン供給予定量は8月時点で約2,567から2,792万本(つまり成人換算で2倍の人数分)でこれは昨年度の供給量よりも少ない数ですが例年並みには供給されるようです。となると昨年度の印象では供給量不足だった記憶がありますので今シーズンも品薄になる恐れはぬぐえません。
ご承知の通り2019/20シーズンも2020/21シーズンもインフルエンザの報告数は激減しており、特に昨シーズンなど新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されていましたが全国的にほとんど報告がありませんでした。当院の発熱外来でもインフルエンザ迅速検査を施行した方で陽性になった方は皆無でした。(もっとも今年の初め頃からは全く流行が無いために検査すらしませんでしたが。)新型コロナウイルス感染症への感染予防(マスク、うがい、手洗い、三密回避等)がそのままインフルエンザ感染予防にもつながり、また海外からの旅行者が持ち込むことも無かったことなどが理由として考えられます。今シーズンも今のところ南半球(特にオーストラリア)での流行はほぼ見られない様ですが、メキシコやインドでは少数ながらインフルエンザの報告がある様です。
では今シーズンの日本で流行はしなさそうなのでワクチン接種は必要ないかと言うとそうは言いきれません。今年の夏は我が国で昨年ほぼ報告の無かったRSウイルス感染症が子供達の間で大流行したのですが、海外でも同様の流行が見られています。2年近く流行が無かったために抗体を持っていない子供が増えたためという事らしいのですが、同様な事はインフルエンザについても言える訳です。新型コロナウイルス感染症は第5波が収束しつつある段階ですが、今冬に大きさはともかくとして第6波が訪れることに間違いは無いでしょう。発熱対応への混乱や医療負荷を少しでも減らすためにやはりワクチン接種はしておくべきだと思います。