1. 耳の病気
1)外耳道真菌症 ; 気温や湿度が悪さをするのか汗をかくためか、夏には耳の痒みが増して掻きすぎることで外耳道炎を起こす方が多く見られます。通常は外耳道皮膚の糜爛や湿潤した堆積物が見られる程度ですが、夏になると更にそこに真菌(カビ)が増殖し菌糸や胞子を認めることがよくあります。症状は強い痒みと堆積物によって起こる耳閉感、難聴などで、培養検査に出すとカンジダまたはアスペルギルスという種類が出てきます。当院で以前はこまめに通院してもらい真菌塊を清掃・除去し抗真菌剤のクリームを塗布または自宅ではブロー氏液(13%酢酸アルミニウム)で耳浴してもらっていましたが、アルミ結晶?が皮膚面にこびりつくのが難点でした。そこで最近では抗真菌剤(アスタット


http://www.linkclub.or.jp/~entkasai/より引用
2)耳介の帯状疱疹 ; 帯状疱疹は小児期に感染した水ぼうそうのウイルスが過労や悪性腫瘍罹患などで抵抗力が低下した時に再活性化して起こる病気で、知覚神経のある身体のどこにでも発症しますが特に胸髄神経節の領域である体幹に多く3割程度が顔面の三叉神経領域にできます。この時特に外耳道や耳介領域の帯状疱疹の場合にHunt症候群と言って顔面神経麻痺(VII)や難聴・めまい(VIII)のほか下位脳神経炎を起こすことがあり注意すべきです。宮崎の皮膚科医による10年間の患者データによると帯状疱疹は夏(7,8月)に多くこれは水痘の発症が冬季に多いのと逆でちょうど鏡像の関係になります。水痘の発症が多ければ帯状疱疹は少なく、水痘が少ないと帯状疱疹が多くなるわけです。(下図のグラフ参照)ここで注目すべきことは2014年10月に小児を対象とした水痘ワクチンが定期接種化されたことで水痘の患者発生数は激減しています。このため今後帯状疱疹患者が増えると予想されており特に50歳代以上の方は水痘ワクチンによる予防が重要と思います(今年春から適応追加されました)。
自験例
「毎日新聞医療プレミア」より引用
2. 鼻の病気
1)アレルギー性鼻炎 ; この時期には花粉も少なく暖かいので鼻炎が酷くなる要素は余り無さそうに思いますが、長いこと患者さんを診ていて気付いたことがあります。夏休み中にお子さん連れで帰省したりすると普段押し入れにしまっていて使わない布団を出して畳の上で寝ることがあります。そういう時に寝具にダニが増えているのか、普段と違う環境でお子さんが飛び跳ねて遊んだりするせいか暫く鼻炎症状が悪化する子供さんが時々受診します。布団を敷いて少し埃が落ち着いてから寝るなどの工夫が必要です。
2)プールと鼻炎 ; 夏の時期はプールで鼻炎症状が悪化し鼻つまりが酷くなるお子さんも多いです。水そのものが浸透圧の関係で鼻の粘膜を障害しまた消毒薬の塩素が鼻炎を引き起こしたり、水中のごみなどによるアレルギー反応のせいとも言われます。もともとアレルギーのあるお子さんは前後にしっかり鼻かみし処方されている内服薬はしっかり飲むこととステロイドの鼻噴霧薬も水泳後にしっかり使用するようにしましょう。