昨年末(第51週)に札幌市では定点医療機関あたりのインフルエンザ患者報告数が14.98(第50週:13.91)と注意報レベルであり、例年より患者数の多い状況で正月休みに入りました(http://www.city.sapporo.jp/eiken/infect/trend/graph/l501.html)。当院でも小児の方からお年寄りまで各年代の罹患した方々が最終診療日まで見えられ、この休み期間中の休日診療(当番医や夜間急病センターなど)はさぞかし大変だったのではないでしょうか。
例年であればシーズン初めはA型の流行が見られ年明けの1〜2月頃からB型がやや流行することが多いですが、何故かここ清田区周辺では流行の初期からB型が多く観られました。そんな中で、札幌市が発表した2017/2018シーズンのインフルエンザウイルスの検査ではAH1pdm09型が22件、A香港型が2件、B型(Yamagata)が2件検出され、今のところメインはAH1pdm09型の様です。2013/2014シーズン以降はA(H3N2)とA(H1N1)pdm09が隔年で流行を起こしており今シーズンもそれに則った形となっています。
インフルエンザの全国的な流行拡大に伴い、インフルエンザ脳症の報告も増えつつあり、(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/flu/topics/201712/554319.html)昨年12月29日の時点で12例の報告があり、6割近くが10歳未満でした。2009/2010シーズンの「新型」インフルエンザ流行時には、季節性に比し脳症の報告が多く見られました。脳症の初発症状は通常、けいれん発作か意識低下で、その中には傾眠と譫妄(または異常言動)の2パターンがあると言われます。場合によっては致死的となる(致死率は約8%)合併症であり、インフルエンザ発症早期の的確な診断・治療が大切であることは言うまでも無く私自身も肝に銘じて診療に当たりたいと思います。
参考;「インフルエンザ診療ガイド2017-2018」菅谷憲夫編著;日本医事新報社