2021年09月12日

 「新型コロナウイルス感染症の後遺症について」


 つい先日地方紙である北海道新聞の夕刊と翌日の朝刊に2日続けて新型コロナウイルス感染症の後遺症についての記事が掲載され、また最近NHKはじめTV報道でも眼にする機会が増えてきました。当然感染者が増えれば治癒後の後遺症に悩む方達も増える訳でそれだけ社会的にも注目されているのでしょう。

 新型コロナウイルス感染症の後遺症については「long COVID」または「post COVID」の名称が最も一般的と思われます。わが国で最も有名?かつ新しい調査は慶応義塾大学の福永教授の厚生労働科学研究の中間集計報告で、COVID-19の中等症以上のうち退院から3か月以上経過した512例の調査で診断後3か月の時点で1割以上の人に自覚症状があったのは疲労・倦怠感、息苦しさ、脱毛、嗅覚障害、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力低下などでこれらの大半が診断後6か月後にも残っているという結果でした。そして最近世田谷区が発表した約3,700人規模のアンケート調査で新型コロナウイルスに感染した人の約48%が嗅覚障害や倦怠感などを訴えており、症状別で最も多いのが嗅覚障害、次いで全身の倦怠感、味覚障害の順でした。これは昨年の和歌山県でのアンケート調査とほぼ同じ結果でした。なお後遺症の定義についてなお定まったものはありません。また英国での調査でlong COVIDのリスク因子として高齢、BMI、女性、発症時の症状が5つ以上という事が挙げられています。

 さて後遺症治療については国立国際医療研究センターの発表でも現時点で確立したものは無く、対症療法が中心である事。ビタミンCや亜鉛製剤は症状の短縮に寄与しなかったとの事です。そのような中で前述の様に一部報道ではEAT(上咽頭擦過療法)に注目が集まり、実際に当院にも後遺症治療目的に受診される方が増えつつある印象ですが、あくまで対症療法の一つとしての位置づけであることをご理解下さい。


  コロナ後遺症リーフレット.JPG



posted by 凄腕院長 at 19:44| 日記