2023年01月30日

 5月8日に新型コロナ五類へ ―私の考えている事― 


 政府は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけについて、現在の「新型インフルエンザ等感染症」から季節性インフルエンザなどと同じ「五類」に移行する方針を決定しました。そもそも国の定める「一類感染症」とは例えば映画の題材にもなったエボラ出血熱の様な「現在我が国に存在していないもので、治療法が確立していないため国民の生命に極めて重大な影響を与える病原体」による感染症で、「二類感染症は」感染力、重症度が「一類」に次ぐ感染症です。例えば過去に流行したSARS、MERSもこの二類に分類された経緯で今回の新型コロナウイルスによるCOVID-19も発生当初からこの二類に分類された訳です。なお三類、四類はやや特殊な感染症で五類には麻疹、風疹、おたふく風邪、水ぼうそう、季節性インフルエンザなどがあります。

  国境なき医師団.JPG
    国境なき医師団のHPより
 
 ニュース番組や新聞等で報道されていますが、懸念される点として1)患者さんへの対応、2)医療提供体制、3)サーベイランス、4)基本的感染防止対策と言われており、それぞれに対し私見を記したいと思います。1)今までは新型コロナの抗原検査やPCR検査、ワクチン接種、治療薬、入院費用などの費用全てが公費負担だったわけですが政府はこれらを段階的に無くしていく方向の様です。このことにより、患者さんによっては敢えて検査をしない、治療や入院を拒否する方が出てくるのかもしれませんが私はほんの一握りだと思っており、それよりは今の新型コロナやインフルエンザの自己(抗原)検査の方がはるかに問題だと思います。自分で抗原検査をして陰性だったからと通常の生活を送っている方がどれほど多いことか。自己検査陰性でも当院で鼻咽腔から検体採取して検査すると陽性になる方は数多く見受けますので、自己検査にはかなりの無理があると思います。2)今までの「検査・診療医療機関」の登録無しに原則どの医療機関でも診療・検査・入院ができる様になるわけですが、恐らく医療機関の数は変わらないか減るのではないかと思います。3年の期間で新型コロナを見ていなかった医師が今後見る方向に転換するとはとても思えずまた診療上のインセンティブも無くなるからです。また新型コロナに対する抗ウイルス薬「ラゲブリオ」は一人9万円近い薬価ですが、これが重症化、死亡率低下効果がほぼ無いのではという報告が出ました。国産の「ゾコーバ」と言い無駄な医療費はやはり対費用効果を考えて自粛すべきであり、これらの費用についても見直すべき時期が来たのではないでしょうか。3)については既述の通り、自覚の無い感染者「隠れコロナ」が増える懸念があります。現在の主流のオミクロン株では軽症化しているのは間違いないと思いますが、今後重症化する変異株や別の感染症が拡大する可能性がぬぐえません。4)つい最近の報道で世論調査では60代以上の高齢者ではマスクを外すことに不安があるとの回答が7割近くだったとの事。私自身最近は屋外で他人との会話機会が無い場面で極力マスク着用を控えています。自家用車内に一人で運転中にもマスクを装着してる方をよく見かけますが、私には理解できません。そういう方は家庭内でもマスク生活なのでしょうか?新型コロナが飛沫(空気)感染であることは自明ですが、いい加減に無駄な飲食店でのパーティション、環境消毒などについても見直す時期と思っております。皆さんはどう考えるでしょうか?


posted by 凄腕院長 at 21:33| 日記