2021年10月02日

 2021/22シーズンのインフルエンザワクチン接種について


 厚労省から既にされた発表によると今シーズンのワクチン供給予定量は8月時点で約2,567から2,792万本(つまり成人換算で2倍の人数分)でこれは昨年度の供給量よりも少ない数ですが例年並みには供給されるようです。となると昨年度の印象では供給量不足だった記憶がありますので今シーズンも品薄になる恐れはぬぐえません。

 ご承知の通り2019/20シーズンも2020/21シーズンもインフルエンザの報告数は激減しており、特に昨シーズンなど新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されていましたが全国的にほとんど報告がありませんでした。当院の発熱外来でもインフルエンザ迅速検査を施行した方で陽性になった方は皆無でした。(もっとも今年の初め頃からは全く流行が無いために検査すらしませんでしたが。)新型コロナウイルス感染症への感染予防(マスク、うがい、手洗い、三密回避等)がそのままインフルエンザ感染予防にもつながり、また海外からの旅行者が持ち込むことも無かったことなどが理由として考えられます。今シーズンも今のところ南半球(特にオーストラリア)での流行はほぼ見られない様ですが、メキシコやインドでは少数ながらインフルエンザの報告がある様です。

  インフルエンザ定点.JPG

 では今シーズンの日本で流行はしなさそうなのでワクチン接種は必要ないかと言うとそうは言いきれません。今年の夏は我が国で昨年ほぼ報告の無かったRSウイルス感染症が子供達の間で大流行したのですが、海外でも同様の流行が見られています。2年近く流行が無かったために抗体を持っていない子供が増えたためという事らしいのですが、同様な事はインフルエンザについても言える訳です。新型コロナウイルス感染症は第5波が収束しつつある段階ですが、今冬に大きさはともかくとして第6波が訪れることに間違いは無いでしょう。発熱対応への混乱や医療負荷を少しでも減らすためにやはりワクチン接種はしておくべきだと思います。


posted by 凄腕院長 at 22:28| 日記

2021年09月12日

 「新型コロナウイルス感染症の後遺症について」


 つい先日地方紙である北海道新聞の夕刊と翌日の朝刊に2日続けて新型コロナウイルス感染症の後遺症についての記事が掲載され、また最近NHKはじめTV報道でも眼にする機会が増えてきました。当然感染者が増えれば治癒後の後遺症に悩む方達も増える訳でそれだけ社会的にも注目されているのでしょう。

 新型コロナウイルス感染症の後遺症については「long COVID」または「post COVID」の名称が最も一般的と思われます。わが国で最も有名?かつ新しい調査は慶応義塾大学の福永教授の厚生労働科学研究の中間集計報告で、COVID-19の中等症以上のうち退院から3か月以上経過した512例の調査で診断後3か月の時点で1割以上の人に自覚症状があったのは疲労・倦怠感、息苦しさ、脱毛、嗅覚障害、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力低下などでこれらの大半が診断後6か月後にも残っているという結果でした。そして最近世田谷区が発表した約3,700人規模のアンケート調査で新型コロナウイルスに感染した人の約48%が嗅覚障害や倦怠感などを訴えており、症状別で最も多いのが嗅覚障害、次いで全身の倦怠感、味覚障害の順でした。これは昨年の和歌山県でのアンケート調査とほぼ同じ結果でした。なお後遺症の定義についてなお定まったものはありません。また英国での調査でlong COVIDのリスク因子として高齢、BMI、女性、発症時の症状が5つ以上という事が挙げられています。

 さて後遺症治療については国立国際医療研究センターの発表でも現時点で確立したものは無く、対症療法が中心である事。ビタミンCや亜鉛製剤は症状の短縮に寄与しなかったとの事です。そのような中で前述の様に一部報道ではEAT(上咽頭擦過療法)に注目が集まり、実際に当院にも後遺症治療目的に受診される方が増えつつある印象ですが、あくまで対症療法の一つとしての位置づけであることをご理解下さい。


  コロナ後遺症リーフレット.JPG



posted by 凄腕院長 at 19:44| 日記

2021年06月27日

 RSウイルス感染症流行に要注意!


 RSV感染症はRSウイルスによる呼吸器感染症で患者さんの約75%以上が1歳以下の乳幼児で占められます。4〜6日の潜伏期間後に発熱や咳など軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々で、6か月以下の赤ちゃんや低出生体重児、心・肺疾患や免疫不全のある赤ちゃんなどが感染すると重症化する恐れがあります。また初めて感染した場合は症状が重くなりやすいと言われており、終生免疫は獲得されないためどの年齢でも再感染が起こりますが、一般的に年長児では重症化しません。乳幼児期、特に1歳以下でRSウイルスに初感染した場合は細気管支炎、肺炎と言った重症な症状を引き起こすことがあります。

 従来秋から冬に流行していましたが、近年では7月頃より報告数の増加が見られるようになりました。既に首都圏での流行が報道されていましたが、先日ついに過去最多の患者報告数となっています。

  東京都RSV定点.JPG

 RSウイルスは2歳までにほとんどの子供が感染するとされますが、昨年は年間を通して流行しませんでした。これは新型コロナウイルス対策でマスクを装用したりうがい、手洗いが励行されたり、保育園が休園したことなどの影響とみられています。専門家達は通常であれば免疫を獲得していた年齢の子供たちの多くが免疫を持っていないために今年は感染が拡大しているのではと見ています。
 
 北海道や札幌市でもじわじわと報告者数が増加しつつあり、十分な注意が必要です。


posted by 凄腕院長 at 19:06| 日記