2019年10月06日

 今年(2019/2020シーズン)のインフルエンザ流行が早くも始まっています。ワクチン接種はお早めに!


 2019/2020シーズンのインフルエンザについては、例年より早い定点当たり報告数の増加が見られています。このため10月4日の厚労省の発表によるとインフルエンザ流行レベルマップを通した情報提供の開始が早まりました。既に9月の夏休み明けから沖縄県ではインフルエンザの大流行が続いており、この時期としては10年ぶりにインフルエンザ警報が発令されています。また本州においても東京都で第38週には定点当たり1.06人の報告があり(第39週に0.96人と減少)、流行入りと見られます。全国では第39週の定点当たり報告数は0.92(患者報告数4,543)となり前週の定点当たり報告数1.16より減少していますが、昨年同時期の4倍超であり同省はワクチン製造メーカーなどに対し供給の前倒しを依頼しました。

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    インフル定点.JPG

 実はインフルエンザの流行は沖縄の様に夏季にも流行が見られ、東南アジアなどの熱帯・亜熱帯でも同様に冬だけでなく夏にも流行します。またインフルエンザの流行は世界中を「循環」しているとも言われ日本の冬場に北半球、夏場に南半球で流行します。つまり1年をかけて北半球から南半球を「往復」すると言う説があります。しかも今はラグビーW杯の真最中で参加国には南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど南半球の国も多く、これら各国の選手やファン・旅行者達が多数日本に来ています。感染者が発症前に日本に入国してインフルエンザウイルスを持ち込むことは十分にあり得る事です。

 今のところ北海道は流行入り前(第39週に定点当たり0.19人)ですが、例年よりも早目の備えが必要かと思います。当院では来週(10/15)からインフルエンザワクチンの接種を開始予定ですので、ご希望の方はお早目にお問い合わせ下さい。


posted by 凄腕院長 at 18:17| 日記

2019年09月23日

 難聴と認知症・うつとの関わり


 最近某週刊誌でも取り上げられましたが、近年ますます進む高齢化社会では現在1千万人以上と言われている「加齢性難聴」の方が増え続けることは間違いありません。最近の研究では難聴が社会的孤立、うつ、認知症、フレイルに陥るリスクを増加させることが言われており、この唯一の対策は補聴器を装用することです。そのあたりは一般にまだ理解されているとは言い難く、私たち耳鼻科医も本腰を入れて取り組まねばならない課題と思います。

老人性難聴.JPG

 慶応大学医学部耳鼻咽喉科の小川教授によると高齢者が難聴を放置すると男性で3倍、女性で2倍もうつになりやすいと言うことです。またアメリカの研究者が同時期に高齢者が難聴を放置することで脳の認知機能が実年齢よりも7歳も上の状態になると発表しました。さらに近年では2017年7月、国際アルツハイマー病会議(AAIC)においてランセット国際委員会が、「本人が意図すれば改善できる認知症の危険因子」を9つ提示してリスクを分析しました。その中で高血圧、肥満、糖尿病を差し置いて中年期(45歳以上、65歳未満)以降の難聴を認知症にとっての最も大きなリスク要因に挙げたのです。また、難聴のためにコミュニケーションがうまくいかないと、人との会話もつい避けがちになります。そうすると次第に抑うつ状態になってしまい社会的に孤立してしまう危険もあり、そしてそれらもまた認知症の危険因子として考えられています。
 加齢による難聴は一般的に40代頃から始まり、高音の聞こえから悪くなって行きます。そして65〜74歳では3人に一人、75歳以上では約半数が難聴に悩んでいると言われています。加齢性難聴は音を感じる部位が障害される「感音難聴」で、内耳・蝸牛内にある有毛細胞の数が減少したり、聴毛が抜け落ちることが原因で一度傷んだ有毛細胞は元には戻りません。そのため普段から騒音等の大音量を避け、規則正しい生活を送り、充分な睡眠をとり、喫煙をやめることなどが予防につながります。

   年齢別平均AG.JPG

 そして少しでも聴力の低下を感じたら早めに耳鼻科を受診していただき、加齢性難聴であれば対処をすることです。「補聴器」の役割は入ってきた音を増幅して、聞き取りに必要な音の刺激を脳に送ることです。この時「加齢性難聴」の方では十分な音刺激が伝わりにくい状態が長く続いたために、脳が「難聴の脳」になってしまっていますので、補聴器をつけ始めた当初は非常にうるさく不快に感じてしまうことがありますが、それがむしろ当たり前と思ってください。幸い脳には可塑性があり脳が耳の感度を調整してくれるので、続けていくうちに脳が「難聴の脳」から「聞こえる脳」に変わっていきます。1か月も我慢すれば日常会話が聞きとりやすくなるので、音量を調整していく必要があります。はじめは気に入らないことがあっても聴覚路のトレーニング、リハビリと思って最低3か月は続けてみて下さい。
 当院では第1,3,5木曜日が予約制の補聴器相談の日で、補聴器の試聴、フィッティングなどを行っています。どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。


posted by 凄腕院長 at 21:50| 日記

2019年05月26日

 風疹予防のための追加的対策が動き始めました


 以前にもこのニュースでお知らせした通り厚労省は近年の風疹の大流行を受け、風疹に関する特定感染症予防指針を改正(平成29年12月一部改正)し、風疹および先天性風疹症候群への対策を行い2020年度までに風疹排除の達成を目指していました。今回は今年2月に発表された追加的対策がこのGW明けの時期にいよいよ具体的に動き始めました。(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/
 その追加的対策のポイントとして3つ挙げられています。特に抗体保有率が低い昭和37年4月2日〜昭和54年4月1日生まれの男性に対し、1)予防接種法に基づく定期接種の対象とし、3年間全国で原則無料で定期接種を実施 2)ワクチンの効率的な活用のため、まずは抗体検査を受けていただくこととし、補正予算等により全国で原則無料で実施 3)事業所検診の機会に抗体検査を受けられるようにすることや、夜間・休日の抗体検査・予防接種の実施に向け、体制を整備となっています。

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          厚労省の啓発ポスターです 

 既にこのGW明けから札幌市では対象となる方(昭和47年4月2日〜昭和54年4月1日生まれの方)にはクーポン券が送られており、(昭和37年4月2日〜昭和47年4月1日生まれの方は自分でクーポン券を申請しなければなりません。)まずは国の集合契約に参加している医療機関を受診して風疹の抗体検査(血液検査)を受けていただいて、抗体検査が陰性であった場合には指定の医療機関において無料で風疹予防接種を1回受けることができます。(http://www.city.sapporo.jp/hokenjo/f1kansen/huusinnotuikatekitaisakunituite.html
当院でもクーポン券を利用した抗体検査と予防接種が可能ですので、対象となる方はこの機会に風疹や先天性風疹症候群から妊婦さんとおなかの赤ちゃんを守ることを是非お考え下さい。

     風疹クーポン.JPG
           実際のクーポンはこの様なものです




posted by 凄腕院長 at 18:40| 日記