2018年01月04日

 2017/2018シーズンのインフルエンザの動向について ―インフルエンザ脳症に警戒― 



 昨年末(第51週)に札幌市では定点医療機関あたりのインフルエンザ患者報告数が14.98(第50週:13.91)と注意報レベルであり、例年より患者数の多い状況で正月休みに入りました(http://www.city.sapporo.jp/eiken/infect/trend/graph/l501.html)。当院でも小児の方からお年寄りまで各年代の罹患した方々が最終診療日まで見えられ、この休み期間中の休日診療(当番医や夜間急病センターなど)はさぞかし大変だったのではないでしょうか。
 例年であればシーズン初めはA型の流行が見られ年明けの1〜2月頃からB型がやや流行することが多いですが、何故かここ清田区周辺では流行の初期からB型が多く観られました。そんな中で、札幌市が発表した2017/2018シーズンのインフルエンザウイルスの検査ではAH1pdm09型が22件、A香港型が2件、B型(Yamagata)が2件検出され、今のところメインはAH1pdm09型の様です。2013/2014シーズン以降はA(H3N2)とA(H1N1)pdm09が隔年で流行を起こしており今シーズンもそれに則った形となっています。

  札幌市定点インフルウイルス型.JPG

 インフルエンザの全国的な流行拡大に伴い、インフルエンザ脳症の報告も増えつつあり、(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/flu/topics/201712/554319.html)昨年12月29日の時点で12例の報告があり、6割近くが10歳未満でした。2009/2010シーズンの「新型」インフルエンザ流行時には、季節性に比し脳症の報告が多く見られました。脳症の初発症状は通常、けいれん発作か意識低下で、その中には傾眠と譫妄(または異常言動)の2パターンがあると言われます。場合によっては致死的となる(致死率は約8%)合併症であり、インフルエンザ発症早期の的確な診断・治療が大切であることは言うまでも無く私自身も肝に銘じて診療に当たりたいと思います。

 参考;「インフルエンザ診療ガイド2017-2018」菅谷憲夫編著;日本医事新報社



posted by 凄腕院長 at 18:08| 日記

2017年11月23日

 インフルエンザ流行の兆しか


 本日の雨で積雪が大分解けたもののまた明日からまた雪の予報で寒くなりそうです。
 
 既に少しづつ報告のあった札幌市内のインフルエンザ患者さんですが、今週11月21日(火)の札幌市の発表によると我がクリニック近く私が学校医を務めている中学校でクラス35人中8人がインフルエンザ様の症状で休んでおり今シーズン初の学級閉鎖措置をとったとのことです。
 いよいよインフルエンザ流行の兆しと思われ、うがいや手洗いの励行をお忘れなく。またワクチン在庫も残り僅かですのでお早目にどうぞ。


posted by 凄腕院長 at 21:44| 日記

2017年10月12日

 ムンプス難聴のこと 



 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)はムンプスウイルスによる感染症で飛沫や接触で感染します。耳下腺の腫れや痛み、発熱が主症状で発症前から感染源になるため患者を隔離しても広がりは止められません。従来より合併症としての難聴発症はそれ程稀ではないと言われていましたが、今回日本耳鼻咽喉科学会による初の全国調査でより実態が明らかとなりました。

 少し前に「北海道新聞」でも報道されていましたが、日本耳鼻咽喉科学会はおたふくかぜが流行した2015年1月から2016年12月までの2年間を調査期間として、全国の耳鼻咽喉科医療機関5565施設を対象に調査票を配布し、3536施設から回答を得ました。その結果336人がムンプス難聴と診断されていました。さらに336人のムンプス難聴患者について追跡調査を行い、めまい、唾液腺腫脹、頭痛、耳鳴などの合併症の有無、難聴に対する治療の内容、最終的な聴力、さらに補聴器や人工内耳などの必要性について明らかにしました。その結果314人について回答が得られ、一側難聴者が300人、両側難聴者が14人で、83%の261人に高度以上の難聴(日常生活に支障を来たすレベル)を認めました。さらに今回の調査では年齢ごとのムンプス難聴発症者数も明らかとなりました。未成年、特に5〜12歳の学童期における発症が圧倒的に多く、次いで子育て世代である30歳代に多いことも分かりました。

 おたふくかぜに特効薬はありませんが予防ワクチンはありますからワクチン一本接種しておけばこの合併症を防ぐことが可能です。1989〜93年の間は、はしか、風疹との混合ワクチン(MMRワクチン)として原則無料の定期接種でしたが、発熱、頭痛、嘔吐などが主症状の無菌性髄膜炎の副作用が問題になり中止された経緯があります。以降はおたふくかぜワクチン単独の任意接種となったことで接種率は30〜40%に低迷し、他の先進国ではほぼ無くなった流行がわが国では繰り返し起きています。現行のワクチンはウイルスを弱毒化した生ワクチンですが自然感染に比較するとはるかに安全性の高いものです。おたふくかぜに未感染の方は是非このことを踏まえてワクチン接種をご一考下さい。
 


posted by 凄腕院長 at 21:52| 日記