2016年11月08日

  マイコプラズマ肺炎が今シーズン大流行か  



 乾いた咳や発熱などの症状が出る「マイコプラズマ肺炎」の1週間当たりの患者報告数が感染症法に基づく1999年の調査開始以来、最多となっていることが1日国立感染症研究所の患者報告でわかりました。
 10月17日から23日までの週の全国の基幹定点医療機関(約500カ所)当たりの患者報告数は、前週比31%増の1.61人で、2011年から12年にかけて大きな流行のあった際の最高値(1.51人)を上回りました。

          マイコ国立感染症.PNG
               日経メディカルオンラインより


 今シーズンの定点報告でも例年通り患者の8割を14歳以下が占めていますが、2011年から12年の流行ではマクロライド体制のマイコプラズマが流行したこともありこれからの動向・薬剤耐性に関する情報に注意すべきと思います。
 因みに今シーズンから当院でもマイコプラズマ抗原の検査キットを導入、検査を行っており、最近の1か月で既に2名程の陽性患者が検出されています。皆さんも充分にご注意下さい。


posted by 凄腕院長 at 10:09| 日記

2016年11月07日

  今年は早い!インフルエンザの流行開始



 札幌市保健所は11月4日、第43週に定点医療機関当たりの報告数が流行開始の目安となる1.00となったことを発表しました。

     インフル定点.PNG
                札幌市感染症情報より(http://www.city.sapporo.jp/eiken/infect/trend/graph/l501.html

 全国的に見ると沖縄県では警報レベルの10人を超え次いで福井県、岩手県などでも流行開始と見られ同時期としては過去7シーズンで最も報告数が多く昨シーズンと比べて8週も早いペースで経過しています。

     インフル定点全国.PNG
                日経メディカルより(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/flu/topics/201611/548932.html

 国立感染症研究所のインフルエンザウイルス分離検出状況によると、流行しているインフルエンザウイルスのタイプは、H3N2亜型(A香港型)が主流で次いでH1N1pdm亜型となっています。なお茨城県から40週にH1N1pdm09の検出されたインフルエンザ脳症例が報告されており、今シーズンの注意が必要です。
 インフルエンザワクチンをまだ接種していない方はお急ぎ下さい。



posted by 凄腕院長 at 00:02| 日記

2016年09月16日

  最近の麻疹の集団発生について  



 今年8月、インドネシアのバリ島で麻疹に感染し帰国した兵庫県在住の男性が関西空港を利用した際に空港職員や医師に感染が広がるという事態になりました。この男性は8月14日に千葉県の幕張メッセで開催されたコンサートにも参加しており千葉県内にも感染が広がっています。しかし直近の感染拡大は大阪府や兵庫県など関西地方中心の様です。(昨日は遂に大阪市立大学医学部付属病院の医師らにまで感染が拡大しました。)

 そもそも日本は2015年3月27日にWHOからはしか(麻疹)の土着株が存在しない「排除状態」であると認定されました。にもかかわらず今回の集団発生はアジアの国々(インドネシア、モンゴル等)で流行しているはしかの株が日本に輸入されてしまいワクチン未接種者を中心に急速に伝播してゆく恐ろしさを現しています。札幌市においては今年度1名の麻疹患者が報告されていますが、いつ他府県と同様の集団感染が起きてもおかしくない状況と言えます。つまり、うちの様な耳鼻科クリニックであってもいつなんどき麻疹疑いの患者さんが受診するかもしれないわけです。カタル期には他の疾患との区別が困難なわけですから、常に疾患を頭の片隅に置くのはもちろんのこと麻疹患者との接触歴や海外渡航歴、麻疹の罹患暦、予防接種歴を確認しつつ診断を進める事になりそうです。 正直私自身は学生時代に同級生が大学病院での臨床実習(ポリクリ)が始まった途端に麻疹に感染したのを見た記憶と病院勤務医時代に小児科入院中の麻疹患者のコプリック班を観た記憶があるのですが曖昧です。恐らく医師の中でも麻疹患者を診察したことのない方は大勢いるものと思います。

 麻疹の初期症状は発熱とカタル症状(咳、鼻汁、眼球結膜の充血等)です。これが数日続いた後口腔内の頬粘膜に特徴的な白い粘膜疹(コプリック班)が現れます。これが出ると一旦熱は下がったように見えますがすぐに高熱となり身体に赤い発疹が出始めて全身に広がります。肺炎、中耳炎を合併することが多く、麻疹患者1,000人に一人は脳炎を合併し命に関わります。空気感染、飛沫感染、接触感染で感染伝播し、基本再生産数(感受性者の集団ので、一人の患者が平均何人の人に感染させるかを表す数字)は12〜18と極めて高く、どんなに広い場所であっても免疫がなければ同じ空間に居るだけで感染し発症する危険性が高くなります。この様に麻疹の感染力の強さはインフルエンザの比ではありません。

わが国では幼児期の麻疹・風疹混合(MR)ワクチン接種を2回に増やし、さらに2008年4月から5年間の期限付きで追加接種が導入されました。これによりワクチン未接種者の拾い上げ、secondary vaccine failure(ワクチン接種後年数を経たため抗体が低下した二次性ワクチン不全)の人たちへの免疫増強効果、primary vaccine failure(ワクチン接種で免疫を獲得できなかった一次性ワクチン不全)の人たちへの免疫付与を狙ったものでした。麻疹は自然治癒する病気ですがその致死率は約0.1〜0.2%と言われ、基礎疾患のない人が死亡したり重度の後遺症を残すことのある病気です。最大の防御策は平時のワクチン接種以外あり得ない事を再度肝に銘じたいと思います。


posted by 凄腕院長 at 22:12| 日記